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和歌山家庭裁判所 昭和39年(少ハ)1号 決定 1964年1月21日

本人 S(昭一七・九・四生)

主文

本件申請は、これを却下する。

理由

本件申請の要旨は、「Sは、昭和三七年五月二三日和歌山家庭裁判所において窃盗保護事件により中等少年院送致決定を受け、浪速少年院に収容中、規律違反の行動等にかんがみ、浪速少年院長の申請に基づき、昭和三八年五月一六日、和歌山家庭裁判所から、犯罪的傾向がまだ矯正されていないため少年院から退院させるに不適当であると認められ、少年院法第一一条第四項により八ヵ月(昭和三九年一月二二日まで)を限度とする収容継続決定を受けたところ、その後も相変らず規律違反を繰り返して成績が好転せず、ついに中等少年院における処遇は不適当と認められ、種別変更の上、昭和三八年一二月二一日、特別少年院である河内少年院に移送されたものであり、移入後は個別指導の徹底により問題点の除去に努めたが、何分にも期間的余裕がなく、その犯罪的傾向がまだ矯正されていないと認められる現段階において退院させることは不適当であり、引き続き八ヵ月程度収容を継続し、矯正教育の徹底を期する必要があるから、本件申請に及ぶ。」というにある。

しかし、当裁判所は、少年院法第一一条の解釈上、少年院の長は、すでに一度収容継続決定を受けたことのある在院者については、その犯罪的傾向がまだ矯正されていないため少年院から退院させるに不適当であると認めることを理由として、再び家庭裁判所に対し、収容継続決定を申請することはできないと解する。なぜならば、同条第二項の「前項の場合において」という文言上、第二項は、第一項により退院させなければならない場合における収容継続決定申請を認めた規定と解釈するのが相当であり、また、同条第八項は、少年院の長は、在院者が収容継続決定に定められた期間に達したときは退院させなければならない旨規定し、この場合、少年院の長がその認定によつて再度の収容継続決定を申請し得ることを認めていないからである。あるいは、同条の目的、同条第四項但書に収容期間の制限があり、その範囲内では、必ずしも在院者の自由を不当に長期間拘束するいわれはないこと等を根拠に、右理由による再度の収容継続決定申請を適法と解する見解もあるが、同条第二項および第八項の文理を右のとおり解する以上、この見解を採ることはできない(ちなみに、同条第五項が再度の収容継続決定を許していることは明らかであるし、また、当裁判所も、その第五項の解釈上、在院者の精神に著しい故障があり公共の福祉のため少年院から退院させるに不適当であると認められるときは、かりに在院者が二三歳に達するものでなくても、再度の収容継続決定をすることができると解するものである)。

右のとおり、本件申請は、不適法と解するから、その他の点について判断するまでもなく、これを却下するほかはない。

(裁判官 大久保太郎)

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